中小企業実践経営学入門 創業・起業編

(創業・起業の基本戦略)

「創業・起業の基本戦略」(中小企業実践経営学入門 創業・起業編)は、中小企業の創業・起業にかかわる基本戦略を実践的に、やさしく述べたものです。

著作者 日本総合戦略研究所(21世紀文明研究所) 近藤章人
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第16章  人、物、金の管理が経営の基本


1. 従業員の技能、経験、性格、信用などにより、誰に何をやらせるか、本人の希望も聞いて判断しよう。
   中小企業の場合は、ほとんどが中途採用となるだろう。
   採用する本人の前職とのかねあい、現社員と新入社員の待遇のバランスを配慮する必要がある。
   従業員が次第に増えてきた場合、社内の組織をどうするか、社長や役員は相談して検討するべきである。
   完全な実力主義にするのか、勤続年数・役職・勤務成果を総合して評価するのか、給与体系はいくつかの方法がある。
   いずれにせよ、誰でも納得できる公平な評価に心がけよう。
   会社の利益に貢献した社員には、当然対応した報酬を支払おう。

2. 主要顧客、主要仕入先、金融機関、税理士、弁護士等は人任せにせず、自分で直接対応しよう。
   とくに主要販売先には個々の定型的な取引とは別に、時々社長自身が行こう。
   販売先の要望を聞いたり、信用状況をそれとなく把握したり、ライバル他社の動きの探りを入れよう。

3. 会社の経理事務を誰にどの程度までやらせるかが問題である。
   信用がある人に専門的にやらせるしかない。その際にも最終決裁は社長自らが行う。
   代表取締役印、印鑑証明書、銀行印、手形帳、小切手帳は社長自身がかならず保管する。

4. 店舗の出店、工場の新設・増設、高額機械設備については、景気動向、業界動向、自社の経営状況・資金繰りを税理士、取引先、メインバンク等と相談して慎重に行う。
  どれも高額な資金を必要になるので、失敗すると致命傷になりかねない。

5.店舗の出店については、出店する予定の地域事情を詳細に調べることが重要。
  どの町か、どの通りに面しているか、近くに何があるか、どのビルに入るのか、何階か、客導線はどのようになっているのか、営業時間帯はどうするべきかなど調べることは多い。
  人の意見を聞くこともいいが、最終的には、朝昼晩、各曜日に頻繁に自分で行ってみよう。
  他店舗展開を始める場合、誰に任すか、任しきれるか、自分の目が届くかもよく検討するべきである。

6.需要の予測は難しい。工場の新設・増設に手間取り、景気が悪化したり、ライバルが設備の増強をした後だったりすると、失敗する。
  最新式の機械設備を導入したのはいいが、難しくて使いこなせない場合もある。
  工場をどこに新設するかについては、立地や現在の本社・現在の工場・取引先との距離も考える必要がある。
  とくに良質の従業員が確保できるかが問題であり、中小企業の場合、従業員が転勤するかということも考えなくてはならない。

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