2.現代日本の歴史的状況分析と21世紀の展望


(現代日本はよくも悪くも、幕末から明治にかけての西欧化、第二次世界大戦敗戦後の占領政策、1990年代の失われた10年の3つの国難の帰結である)

現代日本の歴史的状況は、1990年代の「失われた十年」、第二次世界大戦後の占領政策、幕末から明治にかけて日本の西欧化の3つの国難が絡み合っていると私は判断しています。
日本は有史以来、国難に国民が一致団結して対処して、危機を乗り切り、その後より一層発展してきました。
ところが、現在は日本人同士がつぶしあい、足の引っ張り合いをしており、気骨ある民族派の政治家や経営者はつぶされ、日本の官僚組織は弱体化され、政府はアメリカをはじめとする諸外国のいいなりになっています。
私は民俗派ではなく、国際協調派であり、世界を実質的に支配している欧米の国際資本とは攘夷は不可能であり、開国しかありませんが、いいなりではなく、主体的に協調しようとするものです。
アイデンティティを保持しての協調であれば、世界情勢を的確に把握するとともに、日本自身も歴史的に分析しておかなくてはなりません。
日本は東洋の叡智、日本の和の精神をもって、21世紀の地球文明・人類文明を創造し、国際協調を図っていくのです。
日本は伝統的な日本を復活させる必要があり、伝統的な日本が三つの国難により、良くも悪くもかなり変貌してしまったということを認識しなければなりません。


日本の歴史的現状分析と21世紀の基本戦略(20世紀から21世紀への大転換)概念図


日本の国難について間単に説明します。「日本の歴史的現状分析と21世紀の基本戦略(20世紀から21世紀への大転換」基本概念図とも対応しています。

(1)1990年代の「失われた十年」

バブルの発生から崩壊、その後の誤った経済政策によって、日本はデフレの悪循環に苦しみ、国家財政は破産直前の状態です。
主要国でもっとも日本の財政赤字が深刻です。経済不況、大増税、その後行き詰まってハイパーインフレになるでしょう。
1990年代の政権は短期政権が続き、なぜか最近は金融政策担当の大臣は民間人が指名されています。
やっと景気回復の兆しが見えてきましたが、日本や日本企業は外国資本に買い占められてしまいかねません。
1990年代は「失われた十年」といわれていますが、失われた時代は現在でも続いており、対策という対症療法ばかりで、原因療法がありません。
世界情勢を分析して総合戦略を策定して実施しない限り、日本の未来はないと言っても過言ではありません。

(2)第二次世界大戦敗戦後の占領政策

戦後は、戦前のこと、日本の伝統的なことがことごとく、否定されました。
その影響は政治、教育、思想、防衛、農業などあらゆる分野に及ぼしています。
食糧、エネルギーなどの自給率が極端に低い、アメリカ依存、中東依存の国になってしまいました。
戦前の日本は反省すべきところもありますが、すべてを否定するべきではありません。
諸国民の公正と信義に信頼して、平和運動をするだけでは、平和は達成できません。
経済的に「もはや戦後ではない」状態は比較的早くきましたが、政治的な戦後はいまだに続いており、このままでは、第二の占領政策になりかねず、道州制は日本がハワイの先に州になることではないでしょうか。

(3)幕末から明治にかけての西欧化、反動としての日本のナショナリズムの高揚

幕末から明治維新の時代は現在から見れば、輝かしい時代でした。
江戸幕府から明治政府への転換もうまく行きましたし、文明開化、殖産興業、富国強兵の方針も政府のリーダーシップのもと成果をあげました。
当時の世界情勢から、日本が西欧化するのは当然のことです。また、西欧化の反動で国家神道など日本的な思想統制も行われました。
明治維新は大成功なのですが、現在から日本歴史を振り返ると、日本の伝統的な精神文化が変質してしまいました。
周辺諸国から批判の多い国家神道は宗教というよりもナショナリズムの思想統制であり、本来の神道は神祇伯が廃止され各神社の伝統的な行事もとだえてしまったところが多いのです。
本来の日本、伝統的日本は何かと問うたとき、3つの国難により日本自身が変貌しているという認識が必要であり、そのうえでかなり時代をさかのぼらなければならないでしょう。

次へ

ホームページに戻る


著作者 Copyright
日本総合戦略研究所(近藤総合研究所) 近藤 章人
All Rights Reserved
日本国 東京都 Tokyo,Japan
http://21-civilization.com
info@21-civilization.com