今、なぜ総合戦略なのか

私の総合戦略論は日本再建のための戦略であり、日本人生き残りのための戦略です。
世界の中の日本として、日本および日本人が21世紀の人類社会でどのような貢献をすべきかについても述べています。
現在の日本および日本人の選択が日本のみならず21世紀の人類社会において大きな影響をもたらします。
これから簡単に今なぜ総合戦略なのかを説明しましょう。

(1)日本を再建し、激動の転換期において日本人が生き抜くために

明治維新により、日本は欧米列強の植民地になることなく独立を維持し、文明開化、殖産興業、富国強兵政策を図りました。
第二次世界大戦の敗戦後、加工貿易に活路を求め、世界の工場として、高度経済成長、科学技術の振興を図りました。
欧米に追いつけ、追い越せという民族的悲願のもと、経済大国となりましたが、バブルの崩壊により、日本経済の活力が失われています。

現在では、貿易黒字はまだなんとか維持してはいるものの、創業より廃業が多く、ハイテク分野における欧米との競争力も落ちています。
日本の国家財政は破産状態です。不況対策も公共事業を中心に経済効果を考えずにただばらまいたようではいつまでたっても脱出できません。
食糧とエネルギーの自給率が極端に低いので、万が一それらを輸入できなくなると、世界でもっとも悲惨な21世紀をむかえることになります。

日本はいま近代第三の転換期をむかえ、経済構造と国家戦略を大転換させなければなりません。
改革をするべきなのですが、改革という名のもとで日本を弱体化することがないよう留意するべきです。
世界情勢、とくに欧米とアジアの動向を注視し、国際化をはかりながら、日本民族としてのアイデンティティイを保持しましょう。
私は日本や日本人として主張すべきことははっきり主張しますが、たんなる民族主義者ではありません。
地球はひとつ、人類はひとつ、万教の元もひとつなので文明もひとつになりつつあります。しかし、欧米やユダヤの支配層による力による世界支配は文明の衝突をまねき、地球を破滅させ、人類を滅亡させかねません。
21世紀の人類社会において、世界のあらゆる文明を吸収した「文明の坩堝」日本こそが世界の平和と繁栄のために積極的に貢献するべきであると考えているのです。
そのために総合戦略が必要なのです。

(2)「20世紀末から21世紀初頭にかけての危機現象」、「文明潮流」

世界情勢、あるいはもう少し大局的にとらえて「文明潮流」を認識する必要があります。

21世紀にになった今日、20世紀の世界情勢とは根本的に異なっており、資本主義、共産主義という体制の壁はなくなりつつあります。
しかし、依然として人種・民族の壁、三大一神教の相克をはじめとする宗教の壁は高くて厚い状況です。
アメリカとロシアが全面核戦争をする可能性は少ないと思われますが、核兵器や化学兵器がいわゆる危険な国にも分散してしまいました。
地域紛争、民族紛争、宗教対立はまだ世界各地でおきています。
とくに、ロシア、中国、北朝鮮の情勢は日本に近いだけに格段の注意をはらわなければなりません。東アジアにはまだ体制の壁があり、崩壊するときに紛争が起きるでしょう。
またエネルギーの輸入先の中東でいつまた戦争が起きるかわかりません。(この部分はイラク戦争が起きる前からの文章です。)

地球環境の破壊と異常気象、人口の増加と食糧問題、限られた資源とエネルギー(原子力エネルギーの危険性)など全地球、全人類的な危機現象がおきています。

さらにもう少し大局的な視野で「現代文明の根本的欠陥」を認識することも重要です。
「文明潮流」を認識し、「文明原理」の大転換をはかるべきです。

新世界秩序、ニューエージなど新しい時代の到来についても充分理解し、東洋の叡智、日本の叡智により主体的に対応すべきです。
世界情勢をよく認識し、私が提唱している21世紀の地球文明、人類文明である「21世紀新人類文明」を創造するためにも総合戦略が必要なのです。

(3)情報と戦略に弱い日本人、今、21世紀にむけての総合戦略が求められている

幕末から明治維新にかけて、世界列強からの干渉を排除し、内戦を避けて、独立を保てたのは、江戸幕府側(徳川慶喜・勝海舟)と天皇・公家・薩長土肥が立場の相違をこえて、日本の将来を考えたからです。
一方、昭和初期、世界情勢の把握なしに、国際戦略よりもナショナリズムで、無謀な戦争をおこしたため、日本は敗戦し、周辺諸国にも迷惑をかけました。
第二次大戦後の復興において、自由党の吉田茂首相の国際情勢を正確に把握し日本のために利用するという頭のよさにより、日本は救われました。
欧米に追いつき追い越せと高度経済成長、科学技術の振興を図り、自称「経済大国」になりましたが、その富を日本と外国の不動産や株式・債権に投資しました。
その結果、バブルの崩壊により大失敗しました。長期的戦略により、資源エネルギーの開発、世界的規模の農業の振興、先端技術の開発、世界の成長企業に対する投資など有効な資金の投資方法があったのではないかと私は思います。
バブルを発生させて崩壊させる過程において、日本経済はある意味でもともとバブルであり土地本位制なのですが、土地や株という日本経済の根幹を投資しても儲からない税制にしたため、いくら景気対策をしても景気は上向きません。
あまり経済効果のない公共事業は、たんなる予算の無駄使いにすぎません。その結果日本国家は完全に破産状態です。

日本の総合戦略について歴史的に検証しましたが、20世紀末から21世紀初頭にかけての、混乱し、刻々と転換している世界情勢において、世界の主要国として、世界情報の収集と総合戦略の策定なしに、日本を再建し、日本人が生き延びることはありえません。
ただし、大局的な世界情勢の把握、日本の現状の把握はある程度の期間は有効ですが、情勢が急激に転換した場合、総合戦略に基づく対応も当然かわりますので、私の総合戦略の細部までは固定したものではありません。
本サイトでは、総論的な部分を中心として発表していますが、個々の問題を掘り下げていけば、当然各分野の専門家をまじえた各論的な研究が必要です。
しかし、政界やマスコミにおける総論を無視しての各論は国家戦略としては意味をもたず、最近の政治問題である「イラク問題」、「年金問題」は、氷山の一角にすぎないのです。
グローバル社会において、世界の中の日本をいかに舵取るかが、政治家、官僚、経営者、マスコミの責任です。 明治維新も中心人物はごく少数の志士でしたが、現在でも日本の舵取りを任された少数の指導的立場の人がどうするかで民族の存亡が決まるのです。
維新の志士や戦後の政治家・外交官は日本を守りました。現在の政治家も外国の圧力に屈せず、頑張ってほしいのですが、そのための戦略論が本サイトです。
これからもいろいろな立場の皆様と情報や意見を交換していきたいと思っています。


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日本総合戦略研究所(近藤総合研究所) 近藤 章人 1996年12月8日新規作成 2000年版
2004年5月16日 21世紀版公開  同7月14日更新
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