まとめ よいポートレートを創作するには
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 芸術的な価値のあるポートレートを創作するには、まずカメラマン自身が、どこで、誰を、どのように撮影するか、日頃からイメージを練り上げ、できれば絵コンテのような物に記録しておくとよいでしょう。

有名なプロがどのようなポートレートを撮影したか、写真集や展覧会での写真を鑑賞すると勉強になります。洋服の場合は西洋の絵画、和服の場合は浮世絵などの日本の絵画を参考にするのもよいでしょう。

人物写真の撮り方、ポートレートの撮影法、ポートレートのライティングの本を読んで勉強することも基礎知識・基礎技能の習得には欠かせません。

そのうえで、一回でも多く撮影に行き、1枚でも多く撮影し、そして撮影結果を反省して、工夫を重ねれば上達するでしょう。

ポートレートはカメラマンの写真技術だけではなく、モデルとカメラマンがお互いにいい写真を撮ろうと協力してこそ、よい結果がその写真に反映されます。

 

1.   主題の選定

  ポートレートにはいくつかの種類があります。 たとえば「古都京都において茶道をしている和服姿の二十歳ぐらいの女性を撮影して、若い人でも伝統的な日本のよさを理解して受け継ごうとしている姿を撮影する。」など、カメラマンが何を創作するのかという主題が重要です。それにそってどのような写真を何カットぐらい撮影するのがよいのかを決定します。

 もちろん、そこまで深く考えなくても「アイドルAの水着姿、洋服姿、コスプレ、テニスをやっている姿を撮影し、アイドルAのさまざまな魅力を紹介する。」でもいいわけです。

 最近の若手プロカメラマンのポートレートは色彩的にきれいに撮影されたり、同世代の若者の表情を撮影したりしていますが、どうも私のような「おじさん」にはその写真により作者が何を言いたいのか、よくわかりません。

 

2.   モデル選び

  ポートレートは何回も繰り返して述べているとおり、カメラマンとモデルの共同創作です。そのポートレートの出来栄えの半分、本当は半分以上が誰をモデルにしたかで決まってしまいます。

 若い女性がモデルの場合は容姿でしょうが、男性の場合もそのモデルの個性と写真の主題が一致するかが重要なのです。

 たとえば同じ老人でも、非常に元気な人もいれば、寝たきりの病人もいます。その写真の主題が何かにより、どちらの老人を撮影するかが決まります。

 写真の場合は作者が言葉で述べるわけにはいきません。したがって、どのような場所で、モデルがどのようなことをしているのかにより、主題を表現するのです。

 若い女性がモデルの場合も、ただきれいなモデルがニコパチするのではなく、どのような場所で、どのようなタイプの女性が、どのようなポーズをするかによって主題をどのように表現するかが変ってきます。知的な美しさ、色っぽい仕草、健康的な女性美、可愛いい女の子などきれいな女性にもいくつかのタイプがあります。美しいという基準はひとつではありません。

 広告写真の場合も「どのようなモデルがどのような演技をするのか。」が決まっています。

 つまり、ポートレートのモデル選びは有名人とか絶世の美人であるというのではなく、その作品の主題に沿ったモデルを選ぶことが非常に重要です。

モデルは常にオーディションに合格しなければ仕事がもらえませんが、オーディションとミスコンとはまったく違うということをモデルを目指す人は理解しなければなりません。

また、職業モデルをあえて避ける場合もあります。たとえば日本伝統文化の写真撮影の場合はモデルを容姿で決めるというよりも、日本舞踊、能や狂言、茶道や華道などその分野を実践している人の中から誰かにモデルをお願いするでしょう。

 

3.   撮影場所・撮影時期の選定

 ポートレートはスタジオで撮影するから撮影場所や撮影時期は関係ないというプロのカメラマンもいるでしょう。

 天候に左右されがちなロケをやるよりも、ライティングを自由に決められるスタジオで撮影した方がプロカメラマンにとっては、簡単で確実かもしれません。

 しかし、アイドル写真集はきれいな南国の海で撮影するのが定番です。そのような写真でない場合も、どこで、誰を、どのように撮影するかはポートレート写真撮影の基本です。

 モデルに洋服を着せれば、新宿や丸の内の都市のビル街、お台場やエビスなどの新しい街、洋風庭園、横浜の山手などの洋館で撮影するといいでしょう。 

 モデルが和服の場合は、京都や鎌倉などの古都、日本庭園、歴史的な街並み、神社・仏閣などがよいでしょう。

 時期については、背景を花壇にする場合はその花の開花時期に合わせなければなりませんし、夕日がきれいなところは夕焼けの時間に撮影するのもよいでしょう。

 撮影する主題、モデルのヘアメークや服装にあわせて、どこで、どのような時期に撮影するか、事前に調査・企画しておくのです。

 

4.   女性の場合はヘアメーク

 私はヘアメークのことはわかりません。知識もありません。

ただ、はっきりいえることは、女性はヘアメークを変えると別人のようにイメージが変ってしまいます。

 日頃から美容師やメークアップアーチストの人に習ったり、女性誌で情報を仕入れたりして、自分ににあうことは当然として、いくつかの自分を演出してみるとおもしろいと思います。

 広告撮影では、ヘアメークとスタイリストがつきますが、アマチュアの撮影会程度ではつきませんので、モデルのセンスが問われるのです。

 

5.   服装(コスチューム)

 服装(コスチューム)も重要です。撮影の主題やカメラマンのイメージにあった服を事前に打ち合わせておきましょう。

 大きく分けて、洋服と和服に分けられます。日本の伝統的な価値が再評価されている今日、和服がにあう女性、和服が着れる女性を撮影したいと思うのは私だけでしょうか。

 服の種類だけでなく、色も打ち合わせておきましょう。背景の色に合った色、背景に映える色など、どこでどのような撮影をするかによって決まってきます。また、複数のモデルが撮影会に行く場合、服の色もお互いに連絡をとり、同じ色ばかりにならないようにしましょう。

 銀座、新宿、渋谷、原宿、青山、成城などそれぞれの街にあった服をきるべきでしょう。

 ある撮影会にジーパンで来たモデルがいましたが、中年中心の撮影会にはモデルらしい服を着た方が人気はでます。

 コスプレ写真撮影もポートレートの一種です。女優・俳優が演技するように、自分もマンガやテレビの主人公になりきって撮影するのも楽しいでしょう。

 

6.   ポーズを決める

 わざとらしくない自然なポーズが理想です。

 基本となるポーズから、体をまげたり、手の位置を移動させたりしながら、バリエーションをつけましょう。本サイトを参考にしていただきたいし、雑誌や写真集を見て、さまざまなポーズを覚えておきましょう。

 洋服と和服では基本となるポーズはまるっきり違います。撮影会において、和服のにあうポーズに慣れていないモデルが多いようです。

 同じポーズでも、撮影する方向によって違った写真になります。

 とくに有名人や地位がある人を撮影する場合は、モデルの方を動かすのではなく、カメラマンの方が、まず話し合って、前後・左右・上下動いてみで、その人の個性が一番表現できるアングルからポートレートを撮影します。

 モデルの目線ですが、大きく分けてカメラを見る場合と、目線をカメラからずらす場合があります。写真コンテストの入賞作品は目線をずらした作品が多いのですが、プロカメラマンの写真集を見ると半分以上がカメラの方をむいています。したがって、写真表現としてずらした方がいい場合もありますが、カメラの方に目線を向けた場合は印象が強い写真になります。極端な場合カメラをある表情で見つめて表現します。

 撮影会でのカメラマンとモデルの関係では、カメラマンがポーズの指示をするのが一般的ですが、カメラマンが初心者であったり、非常に大勢であったりする場合はカメラマンの要望を聞きながら、モデル主導でポーズをとっていったほうがいいでしょう。

 

7.   表情をつくる

 

ポートレートでは、ポーズ以上に表情のいい悪いがはっきりと写真に出てしまいます。主題をモデルの表情で表現するといっても過言ではありません。

カメラマンはポーズを指示するだけでなく、常にモデルの表情を観察していなければなりません。

モデルにどのような撮影をしているのか説明しながら、いいところはほめて、悪いところはいい方向に導き、楽しみながら撮影をしましょう。

緊張していたらリラックスさせ、無表情であったらスマイルを誘導し、疲れていたら適度に休ませるなど、カメラマンはモデルに対して気配りが必要です。

モデルもはじめはいわゆるニコパチ写真でよいのですが、次第にさまざまな表情を演技できるようにするべきでしょう。

女性の場合、笑った表情、色っぽい表情、物憂げな表情、悲しい表情、怒った表情、自身に満ちた表情などがあるでしょうし、男性の場合は色っぽい表情のかわりに、たくましい表情、力強い表情などがあるでしょう。

無理に表情を表に出さなくてもいい場合もかなりありますが、表情をだして演技して主題にそったポートレートを撮影する場合もあるのです。

さらに老若男女、各界で活躍している方を撮影する場合は、まず話し合い、どのような写真を撮影してほしいか聞いた後、自分の方からアングルを決め、自然な表情を記録していくといいと思います。