「日米関係の真の友好と日本のアイデンティティ」2007年7月14日公開


「日本は自由主義・資本主義の国であるとともに、世界の主要文明を吸収し、太古からの叡智を脈々と受け継いでいる文明国だ」

税金や年金や職業の問題は有権者にとってもっとも関心がある生活に直結した問題です。参議院選挙ではそればかりが争点となってしまっています。
しかし、税金や年金や職業について、そのことのみを調べても本質はわからず、本質はグローバリズム、世界全体の中で日本の社会をアメリカのような社会にする「改革」が行われていることです。
もっとも重要な、21世紀の日本をどのように舵取りをするかという本質的な部分はマスコミではまったく議論されていません。

私は21世紀の世界と日本のことは長年研究してきたし、そのような世界で日本をどのように舵取りするべきかも考えてきました。
現在は世界がひとつになりつつあり、日本の危機なのですが、舵取りさえうまくやれば、危機を回避して逆にチャンスになるのです。
日本の首相や内閣は国家全体の平和や繁栄、民族の生存の国家戦略をまず考えるべきであって、政府のすべての機関の不始末まで責任を負わせるべきではありません。
確かに有権者ひとりひとりの関心は、なにより自分の生活ですが、生活を防衛するためには日本の富を国際資本に収奪されることを避けるべきでしょう。
私は自由主義、資本主義の仕組みがよいと判断し、国際資本とは協調、日米同盟の堅持が基本的考え方です。
しかし、アメリカのように貧富の格差が極端に開いている社会が理想とは思えず、またアメリカが全世界でやっていることがすべてが正しいとは思いません。
物や金がないよりはあった方がいいけれど、ちょっとリッチに生活できればいい、物や金がすべてではなく精神的や文化的なものに価値を見出す日本人の生き方は人間として賢明な生き方であると思います。
社会全体で助け合って生きていく、上の者が下の者の生活の面倒を見る、下のものは一生懸命働く、このような日本的な社会を崩壊させるべきではありません。

日米同盟、国際資本との協調は重要なことですが、アメリカからのさまざまな要望を日本は拒否することができません。
アメリカからは「年次改革要望書」により、日本をアメリカのように「改革」するように要望しています。
政府も秘密にしているし、マスコミも報道しませんが「財務官」という本によれば、イラク戦争の戦費のかなりの部分は日本が米国の国債を買うことにより負担していると暗に示しています。
歴代の日本の首相は、就任すると即アメリカに行き、日本国の首相のお墨付きをもらい、アメリカから指示を受けるのです。
アメリカには利益、日本には不利益な無理難題の課題を・・・
阿部首相はそれを知っててやらなかった。日本の友好国を訪問してから最後にアメリカを訪問した。アメリカの大統領が変わることを当然よんでのことでしょう。
アメリカが共和党から民主党に政権交代する可能性もあります。
中国からは半世紀以上前の、中華人民共和国建国以前の従軍慰安婦問題で非難され、アメリカで日本非難の決議をされる恐れがあります。原爆を落とした国が落とされた国を非難できるのかと思いますが・・・
北朝鮮のミサイルがいつ飛んでくるかわかりません。北朝鮮は原爆を本当に封印するのでしょうか。拉致問題の解決はできるのでしょうか。米朝はリアメタルの開発を目指して日本抜きの交渉をする恐れがあります。
次期の国連事務総長は韓国人です。
日本企業は国際資本に乗っ取られる危険にさらされています。グローバリズムに対応することは容易ではありません。

このような厳しい世界情勢だからこそ、21世紀の日本の針路や政策を議論するべきであって、日本国内で政争に明け暮れ、足の引っ張り合いをするべきではありません。
阿部内閣が若干準備不足で発足し、政権成立の論功で問題のある閣僚を任命してしまった甘さはありますが、アメリカとの友好を図りつつも言いなりにならないように何とか耐えています。
属国日本の政権は一般的に、アメリカの言いなりになる政権は長期安定政権となり、言いなりにならない政権はスキャンダルが続出して崩壊します。
残念なことに、日本のマスコミはアメリカや中国の諸問題については寛容であり、日本の政府に対しては非常に厳しい非難をします。
これからの日本と世界、阿部内閣の基本的な方針、やってきたことの是非を論じるならばわかりますが、阿部内閣が非難されている年金問題も従軍慰安婦問題もはるか以前のことで、阿部内閣の直接な責任ではありません。
マスコミはいいこと、問題が無いことは報道せず、問題があること、スキャンダルをスクープとして報道する傾向があるようです。
テレビより新聞、新聞の大見出しよりベタ記事、新聞より雑誌、雑誌より単行本に本質が掲載されているように思います。
さらにネットも玉石混交ですが、マスコミが報じないことが書かれています。マスコミが報道するべきと思うことまでネットでしか得られないことがあります。
私たちが国難に立ち向かうときには、政治家も有権者も大局的な視野で清濁併せ呑む器量の大きさが必要です。重要なことはその政治家が何をやっているかなのです。

私たち日本人は、まさに世界がひとつになろうとしている時期に、世界情勢を分析して、日本の国際戦略を策定しなければなりません。
日米同盟、国際資本との協調が必要ですが、言いなりではなりません。
中国、韓国・北朝鮮、日本は非難をするのではなく、まして戦争をするのではなく、未来に向けて助け合うべきです。
さらに麻生太郎外相が「自由と繁栄の弧」という著書を出版されましたが、阿部内閣は日本外交の新機軸を打ち出しています。
これから重要なことは、日米同盟、日中友好を堅持しつつも、「現代のシルクロード」といいますか、ユーラシア大陸で日本と友好な国との関係強化が必要です。
マスコミはまったく報道していませんが、阿部内閣は「21世紀の人類社会における日本のアイデンティティの確立」という意味ではなかなか健闘していると思います。

日本でも貧富の格差は開くばかりですが、一番格差のある国はアメリカです。日本をアメリカのような国に「改革」すれば、ますます格差は広がります。
世の中にはいろいろな生き方、考え方がありますから、そこは議論をするべきです。二大政党が政策論争をするべきです。
私は、 キリスト教国なのにアメリカの経営者は物や金がすべての人生観、 地球環境に関心が低く破壊防止の政策を採らない、 精神的な文化に価値を見出せない、 世界遺産もほとんどない歴史の浅い国のアメリカであることを アメリカの人々はまず謙虚に認識するべきだと考えます
。 力による世界支配は世界各地で「文明の摩擦」がおこり、世界各地の文化や文明を理解せずに力で破壊するば、イラクのように混乱するばかりで統治不能になるでしょう。
日本を守るために、日米協力は絶対に必要ですが、自衛隊は日本を守るための軍隊であって、アメリカ軍と一緒になって世界支配するための軍隊ではありません。
自衛隊の活動地域、活動内容に歯止めをかけておくべきです。極東の範囲は拡大されるばかりで、今では極東の範囲を議論することもなくなってしまいました。

日本の内閣が友好を図りつつも日本独自の戦略や外交をやれば、「阿部内閣」でなくても攻撃されます。
しかし、アメリカ一辺倒で追従した場合、アメリカが世界でやっていることを世界の国々の人々はどのように感じているのでしょうか。
日本はアメリカ追随のみでは、世界の嫌われ者になってしまうでしょう。アメリカのやり方は世界の人民を幸福にはしません。
日米同盟・国際資本との協調を堅持しながらも、日本の文化や日本人の特性は守っていくべきです。

そのためには、ヨーロッパとの友好、中国などアジアの近隣諸国との友好、本物のユダヤ・イスラエルとの友好、同時にイスラム教徒を含む「自由と繁栄の弧」の諸国との友好なども図るきめ細かな外交が必要です。
私は21世紀の文明や日本の総合戦略を研究しておりまして、政争に巻き込まれるのを避けておりますが、どの政権にせよ「日本のアイデンティティ」に基づく日本的な外交をするべきだと考えます。
さらには日本文明を礎にした21世紀の地球文明・人類文明を創造しましょう。世界は「文明の坩堝」日本に期待しています。
自民党の中にも民主党の中にも、日本の伝統を保持しようという人々がいます。国際勢力との協調は私も絶対に必要だと思いますが言いなりになるのは反対です。
欧米の国際資本を中心として世界がひとつになることも賛成です。そのような歴史の流れの中で日本は主体的に貢献するべきだと思うのです。

「安部政権」の本当にやりたいことをマスコミはまったく報道せず、外交など懸命に取り組んできたことも報道せず、安部政権つぶしのみをひたすらするのはいかがなものかと思います。
不思議なことに、ある程度の知識、教養、資産があり、グローバリズムの荒波の中でもなんとか生きて行くことができそうな人々の方が日本のアメリカ化に反対しています。
日本がアメリカ化することにより最も犠牲になった若い人々が、本は読まない、雑誌も読まない、インターネットやパソコンが若くてもできない人がいる、テレビの影響だと思いますが、日本のアメリカ化に結果的に賛成しているのです。
小泉前首相も民主党の小沢代表も日本が無条件にアメリカ追随することの危険性と弊害を一番よくご存知なはずです。
岸首相はマスコミに反対され、国会はデモで囲まれながらも、60年安保改定させました。樺さんという女子学生がデモの下敷きになり死亡しました。
日米同盟、日米安保がなかったら日本は高度経済成長できなかったでしょう。その後の石油危機、ドルショック、ソ連の崩壊、バブルの発生と崩壊がありました。
その間にアメリカは変質してしまいました。古きよきアメリカは失われつつあります。
アジア各国が経済成長してきました。世界のパワーバランスが変化しています。アメリカの思惑通りに世界が動かないでしょう。
参議院選挙の結果は自民党の大敗が予測されていますが、民主党も衆議院の議席数が少なくてはどうにもならないのですから、二大政党が話し合い、次の衆議院選挙までは政治的混乱をさけた方が無難と私は思います。

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