東西冷戦が終了し、体制の壁はなくなりつつありますが、人種・民族の壁や宗教の壁は、まだ高く、厚い現状です。
諸文明は衝突し、諸宗教は対立と闘争を繰り返し、諸民族の対立は深刻化しています。
戦争の原因が、経済、政治的要因のみならず、宗教戦争、民族戦争となると、対立はエスカレートして、泥沼化してしまいます。
中東は戦争の本質は石油資源争奪と宗教対立です。
東アジアにはいまだに体制の壁が存在し、壁が崩壊するときに戦争にならないとも限りません。
日本としても周辺諸国の戦争に巻き込まれる危険はあり、東アジア有事のときにアメリカ任せというわけにはいきません。
21世紀には、世界はEUのような地域共同体がいくつかできて、その連合体として国際連合やそれを発展させて世界連邦・地球連邦が創造されるでしょう。
明治維新の時代においても、現在においても、日本は世界全体の変化に合わせて近隣諸国とも仲良くしようとしますが、なかなかうまくいきません。
中国や朝鮮は世界の政治・経済の変化に遅れているといわざるを得ません。
日本、中国、韓国・北朝鮮が仲良くなり、ひとつの勢力になることがないように対立をあおっている勢力もあるようです。
世界全体が21世紀のひとつの文明社会の創造に向けて進みつつある今日、東アジアの国は過去のことばかり言い争い、地域としての協力を困難にしています。
中国にしても、イスラムにしても、他国を非難する国ほど、自国内部に深刻な経済格差、不平等、言論の弾圧などの諸問題があるようです。
日本を含む世界各地に紛争の火種は存在し、このままではいつになっても地球上で平和の鐘はならないでしょう。
今、世界人類は諸宗教の対立、人種・民族の対立、戦争の危機に限らず、地球環境問題・資源エネルギー問題などさまざまな面において、有史以来の未曾有の危機に直面しています。
これらの全世界的問題は、特定の国、特定の民族、特定の宗教に限った問題ではなく、まさに全人類的な問題です。
宇宙船地球号上の運命共同体としての人類であるという意識をもたなければなりません。
つまり、特定の地域の固有の問題として捉えるのではなく、グローバルな視野でとらえて、現代物質文明、あるいは科学技術文明そのものの問題なのです。
ですから、これらの諸問題は、経済だけ、政治だけ、軍事だけという専門的な個別科学だけでは絶対に解決することは不可能です。
政治、経済、科学技術、文化、宗教などの各分野を超越した総合文明論によってこそ、21世紀の人類社会のありかたを論じられるべきなのです。
現在は農業革命、産業革命につづく、大転換期であり、「第三の波」なのです。
精神文明がおこり、次第に物質文明に転換して文明は発展してきましたが、物質文明のみが発展して精神文明が停滞するという状況になってきました。
富裕層に有利な不平等な政策、世界各国で貧富の格差の拡大、産業優先の自然の破壊、戦争やテロによる生命の軽視など深刻な文明の行き詰まりの様相を呈してきました。
20世紀は科学技術、物質文明が日進月歩に進歩してきた時代ですが、物質文明の行き過ぎの弊害が顕著となりつつあります。
21世紀にはまた精神文明を復活させ、精神文明と物質文明が調和を保つようにしなければなりません。
21世紀には20世紀までの工業社会から脱工業化社会になるといわれていますが、私見では超工業化社会をめざすべきであると考えています。
ユビキタス社会の到来は目前に迫っています。燃料電池は実用化されつつあります。ロボットも身近で活躍する時代になるでしょう。
しかし、人間は森羅万象の背後に存在する大自然の叡智を忘れてはなりません。地球も人類もはたして物質だけであり、精神や神霊という世界はないのでしょうか。世界全体では宗教が衰退するどころか進展しています。残念なことに宗教間の対立は激化して相互理解は進んでおりません。
大自然の叡智は科学的な言葉では宇宙エネルギー、宇宙大生命であり、宗教的な言葉では太古ではアニミズムであり、その後の世界宗教では天地一切を創造して運営している神(主神、天の父、ヤーウェ、アラー、聖観音、梵天など)なのではないでしょうか。
いずれにしましても、21世紀の文明は20世紀までの文明とは根本的に違います。科学技術の発展とともに、世界や人間においての神霊的認識も太古の人類のように回復するでしょう。文明原理の大転換・社会全体の大変革が起きるでしょう。
有史以来、諸文明は興亡をくりかえし、20世紀においても西欧文明、中国文明、イスラム文明などいくつかの地域文明が存在します。
それらの地域文明は、グローバリズムの一方で、文明間の衝突は激化しています。
近年、交通と通信の発達により、民族間、国家間、宗教間、文明間の交流が若者を中心として以前にまして進みつつあります。
インターネットの発達はマスコミによらず、誰でも自分で世界の情報を収集し、発信することが可能となりました。
若者を中心として、ひとつの地球、ひとつの人類という意識がめざめつつあります。
私が「新人類」と名づけているコスモポリタンが徐々に増加するでしょう。
私は、20世紀末から21世紀初頭にかけての諸問題を解決し、21世紀の新しい地球文明、人類文明を創造するために、長年にわたり文明あるいは文明論の研究をしてきました。
その結果、物質的、もう少しはっきり言えば、唯物的な世界観・人間観は誤りであり、人類は一刻も早く太古からの叡智を甦らすべきであると考えるようになりました。
すなわち、総合的世界観、総合的人間観に元がえり、あるいは復活すべきなのです。精神的世界や神霊的世界も科学的に探求するべきなのです。
総合的人間観・世界観によってこそ、各民族・各宗教の壁を越えて人間として基本認識が芽生え、各宗教が開祖の教えに元帰りすることにより相互理解と融和が図られます。
総合的世界観・人間観を基にして科学的な世界観・人間観と宗教的な世界観・人間観を比較・検討すると、科学と宗教は対立するべきものではなく、収斂するであろうと考えるようになるでしょう。
そしてそれに基づいた文明原理に大転換し、20世紀末から21世紀初頭にかけての危機を回避するとともに、21世紀の地球文明であり、人類文明である「21世紀新人類文明」を創造することこそ、平和で繁栄した未来を導く道であると提言しています。
さらに21世紀の地球文明・人類文明は、太古からの叡智を脈々と受け継ぎつつも、世界の主要文明を吸収した「文明の坩堝」の日本で、今まさに創造されようとしているのです。
以前より詳しい説明をしておりますが、膨大な思想体系・文明論の体系のため、インターネツト上ではごく初歩的な概要しか説明できません。できるだけ多くの方に興味を持っていただければ幸いです。